
不動産を売却する際には、状況によって「分筆」という手続きを活用することで取引を有利に進められる場合があります。
分筆とは、1つの土地を複数に分けて登記し直すことで、売却範囲を明確にできるだけでなく税務面にも効果があります。
活用方法を誤ると手続きが煩雑になったり、かえってコストが増すケースもあるため、事前の理解が重要です。
本記事では、不動産売却における分筆の基本知識から実際の進め方、活用する際の注意点まで解説いたします。
不動産売却の「分筆」とは?

所有する土地の一部だけを売却したいと考えたとき、どのような手続きが必要で、法的に何に注意すべきか、所有者として正確な判断が求められます。
ここでは、「分筆とは何か」という基本をご説明し、次に「分筆後の登記の扱い」最後に「一部のみ売却したい場合の対応方法」という3つの観点から解説いたします。
分筆とは
分筆は、1筆の土地を複数の独立した土地に登記し直す手続きです。
まず、土地家屋調査士が境界確定測量をおこない、隣接地所有者の立会いを受けて境界を確定します。
確定後に作成された測量図と申請書を法務局に提出すると、それぞれの土地が新たな地番で登記され、個別に売買や担保設定ができます。
ここまでの流れには、実測図面作成、境界標設置、固定資産税(課税)明細書の確認など細かな工程が含まれるため、スケジュールには余裕を持つことが大切です。
依頼から登記完了までの期間は平均2〜3か月ですが、境界争いが生じると半年以上かかる事例もあります。
分筆後の登記の扱い
分筆が完了すると、法務局の登記簿に新しい地番が付与されます。
登記事項証明書には「2025年7月19日分筆」など、旧地番との関連が記録されるため、履歴の追跡が可能です。
これにより、買主は権利変遷を簡単に確認でき、金融機関も担保評価をおこないやすくなります。
一方で、旧地番に設定されていた抵当権や根抵当権は原則として新地番にも引き継がれるため、既存債務の有無を確認したうえで抹消登記や債務承継手続きをおこなう必要があります。
また、登記情報は自治体の固定資産税台帳にも共有されるため、分筆後に地目や面積が変わると、翌年度課税額が変動する点にも注意しましょう。
一部のみ売却したい場合の対応方法
分筆を完了しないままでは、所有権移転登記ができません。
契約自体は、対象部分を図面等で明確に特定できれば有効となり得ますが、履行(引渡し・登記)には分筆等の手続きが不可欠です。
共有持分は単独で利用や担保提供が難しいため、買主が見つかりにくい傾向があります。
そのため、測量費や登記費を負担してでも分筆を選ぶほうが、結果的に高値売却につながるケースが多いです。
共有持分で進める場合でも、将来の共有物分割請求を見据えた公正証書の作成などリスクヘッジが必要です。
不動産売却における分筆のメリット

土地の資産価値を最大限に引き出し、スムーズな売却を実現するためには、分筆が有効な選択肢となることがあります。
ここでは、分筆がもたらすメリットを3つの側面から解説いたします。
地目ごとの扱いと調整のしやすさ
登記簿には「宅地」「田」などの地目が記載され、分筆によって用途ごとに整理しやすくなります。
たとえば、前面道路に面した部分を宅地、奥の部分を畑として分ければ、それぞれに適した法規制や税率を適用できます。
宅地と農地を分けておけば、農地法の許可を得て農地部分だけを売却するなど、目的別の活用が可能です。
農地だけを転用する際でも、転用許可証と登記情報が一致するため手続きがスムーズです。
ただし、条件を満たさない区画は再建築不可となる可能性があります。
分筆後の各区画が建築基準法の接道義務を満たしているか、都市計画法上の用途地域に適合しているかを事前に確認しましょう。
税金面での効果や注意点
相続や贈与の前に分筆しておくと、評価額を均等割りしやすく課税負担の調整に役立つことがあります。
たとえば、兄弟が3人いる場合、三筆に分ければそれぞれが等価で取得でき、後の共有解消トラブルを防げるでしょう。
売却を段階的におこなえば譲渡益を分散できるものの、分筆が節税だけを目的とすると税務署に否認されるリスクがあります。
さらに、分筆後に地目変更をおこなうと固定資産税や都市計画税が増減する可能性があるため、ランニングコストも含めたシミュレーションが不可欠です。
また、一定規模以上の農地を宅地等に転用する場合は、農地法(4・5条)の許可や開発許可が必要となることがあり、自治体手数料や負担金が発生する場合もあるため、事前に行政へ相談しておくことが大切です。
取り扱いを誤ると、節税どころか追加税負担や延滞税が発生する場合もあるため、税理士に試算を依頼し、複数シナリオを比較することが重要でしょう。
土地の使い勝手が向上するメリット
分筆により売却、賃貸物件、自用といった運用方法を区画ごとに選択できます。
たとえば、住宅用地と空き地を分け、空き地だけを駐車場として貸し出すなど柔軟に活用できます。
親子で住み分ける敷地も、それぞれの名義で所有でき将来の相続対策にもなるでしょう。
また、分筆しておけば一方を担保に融資を受け、もう一方は自宅として保持するといった資金調達プランも立てやすくなります。
長期的には一部だけを売却し、残りを資産運用に回すなど、ライフステージに合わせたプランニングが可能となるでしょう。
不動産売却の分筆方法

土地を分筆して売却するには、専門的な手続きと調査が不可欠であり、その手順を正しく理解しておくことが成功の鍵となります。
ここでは、「土地家屋調査士に依頼する流れ」「必要な事前調査」「現地調査・確定測量の実施と手順」という3つのステップに分けて解説します。
土地家屋調査士に依頼する流れ
まず、土地家屋調査士に相談し、地番や登記簿謄本を提示して希望する区画を伝えます。
調査士は境界を確認し、測量図や申請書類を作成して法務局へ提出します。
依頼時には見積書を取得し、測量日程や隣接地所有者への案内方法を確認しておくと安心です。
相談の際は、土地利用計画や買主の意向も共有しておくことで、境界線の引き方を最適化できます。
また、土地家屋調査士と司法書士が連携すると、登記から決済まで一貫したサポートを受けられるため、スケジュール管理が容易になります。
必要な事前調査
登記簿と公図を確認し、用途地域や容積率等の制限、接道義務の有無を調べます。
あわせて、市町村の都市計画課で開発許可や上下水道引込状況を確認しておくと、後工程での設計変更を避けられるでしょう。
これらの条件を満たすかを把握しておくことで、分筆後の売却や建築の可否を判断できます。
調査結果は測量図や配置図に反映されるため、設計士や不動産会社とも情報共有し、計画全体を整合させることが重要です。
現地調査・確定測量の実施と手順
現地では境界標を確認して不足箇所に設置し、測量機器でポイントを計測します。
隣接地所有者と立会確認書を交わしたうえで測量図を作成し、分筆登記を申請します。
測量図面には面積、方位、辺長のほか、道路や水路との位置関係も記載されるため、後日の境界トラブルを防げるでしょう。
分筆登記が完了すると登記完了証が発行されます。
権利証(登記識別情報)は新規発行されず、分筆前のものを引き続き使用します。
登記完了後は、市役所への地積更正届や税務署への提出書類が必要となる場合があるため、確認を怠らないようにしましょう。
まとめ
不動産売却時に分筆をおこなうことで、用途に応じた柔軟な活用やスムーズな売却が実現しやすくなります。
ただし、分筆後の地目変更や課税区分の変化など、法的・税務的な影響にも注意を払うことが必要です。
手続きには専門的な知識が求められるため、事前準備を整えたうえで専門家と連携し計画的に進めましょう。

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